ヒップホップサウンドの成り立ち|NOA ONLINE DANCE

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▪ヒップホップサウンドとは?


ヒップホップサウンドを生み出した三つの要素として、名著「ヒップ・ホップ・アメリカ」の著者ネルソン・ジョージは、「ディスコ・ミキシング」、「ダブ・サウンド」、「トースト」をあげている。


▪「ディスコ・ミキシング」


ディスコ・ミキシングとは1970年代半ばに一大ブームとなったディスコ・ブームの時、DJたちがダンサーたちを踊らせ続けるために編み出した2枚のレコードをつなげてかける手法のことだ。リズムを合わせて異なる曲をつなげたり、同じ曲を交互に切れ目なくかけることで永遠に続くグルーブを生み出したりとDJたちは、そのテクニックを競い合った。


 ▪「ダブ・サウンド」


ダブ・サウンドとは、1970年代前半にジャマイカ発の音楽として大ブレイクしたレゲエの発展型のひとつ。レゲエはスカから進化し、ボブ・マーリーによって世界中に広められましたが、それはスカからレゲエ、レゲエからダブへの進化の中で、どんどんそのスピードがゆっくりとなり、逆にベースとドラムスによるリズムが強調されていった。メロディーは失われ、強烈なリズムだけが繰り返されるというデニス・ボーヴェルによる過激で前衛的な段階にまで行き着くことになった。
ただし、当時ジャマイカ系の移民たちが求めていたのは、屋外でのガンジ(大麻)を吸いながらのダンス・パーティー用のサウンドで、ゆったりではあっても踊れるビートの音楽だった。ジャマイカでは、こうしたリズムを強調したミキシングを用いてレゲエを加工して聞かせる独特のオーディオ設備「サウンド・システム」が屋外のパーティーで大活躍。それがニューヨークにあるジャマイカ系のコミュニティーに持ち込まれた。


▪「トースト」


さらにジャマイカ人DJのUロイが編み出した「トースト」の手法が導入されることで大きな盛り上がりをみせることになった。「トースト」とは、DJがサウンド・スステムでダンス音楽をかけながら、その合間にレゲエのリズムに乗っておしゃべりを挟み込み観客を楽しませるもので、「歌」と「ラップ」の中間的な存在といえる。「歌」のようにメロディーがあるのではなく、かといって「ラップ」のように「韻を踏んだ言葉遊び」というわけでもない。
ジャマイカ系のコミュニティーで生まれた「ダブ・サウンド」と「トースト」は、そこで急激な進化をとげ、それが前述の「ディスコ・ミキシング」と出会うことで、ヒップ・ホップ・サウンドが誕生する。その融合を最初に行った人物は、ジャマイカからの移民だったDJでクール・ハークという人物だった。

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