―はじめに―
人間は人生の3分の1は「睡眠」に時間を費やしているといわれています。24時間のうち約8時間を睡眠の時間とすると確かにたくさんの時間になりますね。しかし、中々「睡眠」にフォーカスすることはありません。眠れない...といった悩み以外にも、寝つきが悪かったり、眠りが浅かったり、寝起きが悪かったり、といった様々な「眠り」に対する悩みは誰しも感じたことはあるのではないでしょうか。
ここでは、ヨガを通して睡眠改善、良質な睡眠を得る方法や、ヨガと睡眠の関係、効果や理由をみていきましょう。
■ 不眠に陥る原因とは?
1.心理的・精神的原因
まず代表的な原因は、ストレスです。ストレスは自律神経が乱れた状態とないり不眠になる要因のひとつです。ストレスを感じると人は、交感神経が優位になります。交感神経は心身を興奮させるため、夜間の睡眠の質を低下させてしまいます。不眠に悩む多くの方はストレスが原因の場合が多いでしょう。また、憂うつな気分が長く続いていたり、何をしても楽しくなかったりと感じていたら、眠れない背景には心の不調が関わっている可能性もあり、専門家の手助けが必要なケースがあります。慢性的な不眠では、3分の1から半数は、何かしらの精神疾患(うつ病や統合失調症など)があるとも言われています。
2.身体的原因
けがによる痛みや、アレルギー性鼻炎による鼻づまり、皮膚のかゆみなど身体に痛みや不快感があることで安眠できないことも多くありますね。加齢に伴う夜間の頻尿などの体の症状が眠りを妨げる場合もあります。ほかにも、睡眠時無呼吸症候群という名前を聞いたことはありますか?こちらは、一晩に何度も呼吸困難を起こし、眠りを浅くする症状ですが、本人の自覚がほぼ無く、発見されづらい病気です。朝起きても、十分に眠った感じがしない方や、いびきの大きさを指摘されたことのある方は注意で、医療機関の受診をお勧めします。3.薬理学的原因
寝る前に、カフェインを摂取したり、たばこを吸ったりすることは、睡眠にとって良いとは言えません。コーヒーは良いところもたくさんありますが、カフェインは目を覚ます効果があります。眠気を飛ばすような効果をうたう清涼飲料水などにもカフェインが含まれています。また、夜寝るため、眠ろうとしてお酒を飲む人もいますが、アルコールには一時的な入眠作用後の覚醒作用があるため、実は睡眠の質を考えると眠りを浅くしてしまいます。たばこに含まれるニコチンにも覚醒作用があり、寝つきを悪くしたり、眠りを浅くします。
まれに、薬を服用していると、その副作用で眠れない場合があります。悩んでいる方は一度、主治医に相談するなどして、薬の副作用について正しく理解しておきましょう。
3.環境的原因
時差ぼけ、昼夜逆転した生活では、体内時計がずれ、睡眠の質が下がってしまいます。眠る前にスマートフォンなどのを使用したりすることで交感神経が活発になり、睡眠が妨害されます。さらに、寒さ暑さ、明るさ、騒音などの就寝環境も、睡眠に大きな影響を与えています。■ 寝る前のヨガが不眠に効果的な理由
ヨガの呼吸法やポーズは、「呼吸」をとても大事にします。 腹式呼吸は、副交感神経を活発にする働きがあり、胸式呼吸は、交感神経を活発にする働きがあります。 現代人は、ストレスや不規則な生活習慣によって、「浅い呼吸」になってしまっている人が多いのです。ヨガによって副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせ、自律神経のバランスが整うことで睡眠の質が向上し、安眠を得ることができるようになります。呼吸と連動して筋肉の緊張を和らげるヨガは、自律神経の乱れを整えるのにとても効果的なのです。
■ ベッドの上で出来る簡単ヨガポーズ
寝る前にヨガをやるのも、面倒だったり三日坊主で終わっては意味がありません。ここではベッドで寝たままできるヨガを紹介しますので、寝る前のスマホを見る時間をヨガの時間に変えてみたり、寝る前の時間を少し考えて睡眠の質を改善できるよう、みなさんもぜひ試してみてください。1.赤ちゃんのポーズ
心を落ち着かせる赤ちゃんのポーズです。まずはベッドに仰向けに寝転がり、両手で両膝を抱えるように胸に近づけます。ゆっくり身体を軽く左右前後に揺らします。自律神経の集まる背中を伸ばしながら、ゆっくりと呼吸をしてみましょう。
2.ワニのポーズ
こちらも気持ちを落ち着かせる効果に、身体をツイストすることで腰回り、背中、肩回りを気持ちよく伸ばしリラックスすることができます。3呼吸程ゆっくりキープし、左右交互に行ってみましょう。キープするのが難しい方は浅めにゆらゆら無理せず動かしたり、上にくる腕を床に着けるのが苦しい方は肘は曲げた状態でかまいません。3.橋のポーズ
胸、首、背骨のストレッチ、脳の休息に効果がありリラックスしたり、疲労回復効果を感じるポーズです。30秒〜1分キープし、吐く息で腰を下ろします。背骨をゆっくりロールダウンしましょう。
以上、とっても簡単に始められる3つのポーズを紹介しました。ほかにもたくさんのポーズがあるので、自分の中で身体がスッキリするなと感じたり、心が穏やかになるのを感じるポーズを見つけて、一日のおわりのルーティーンにしてみてはいかがでしょうか。
普段運動をあまりしない方は、ヨガのねじりのポーズで内臓を刺激したり、ヨガ終了後すぐに激しい運動をしたりすると、副交感神経から交感神経が優位になった時に身体が変化に耐えきれずお腹が緩くなってしまうこともあります。緊張するとお腹が痛くなったりしますよね。腸は第二の脳と言われ、感情と密接な関係があるのでそのような好転反応が起きることもあるので、焦らず自分のペースで初めてみてください。
■ 寝る前ヨガの注意点
ヨガに慣れていない方や、難しいポーズにチャレンジして呼吸が乱れたり、身体に無理が生じるポーズを取ろうとするとかえって、交感神経が優位に働き、心身が興奮状態となってしまうと、眠る前に相応しい状態とはいえません。ヨガの中でも休息のポーズをメインに行うことで、呼吸や自分の身体に耳を向けることができるかと思います。
―おわりに―
いかがでしたでしょうか。寝る前のスマホを見るのはよくない、コーヒーは寝る前に飲むのはよくない、と聞いたことはあったかもしれません。身体の不調に関係する自律神経のバランスが影響していることが分かったかと思います。しかし、リラックスするって何をしたらいいのかわからない!そんな方はヨガで「呼吸」に意識をむけ、ヨガのポーズをとって身体を伸ばしてあげると、なんだか落ち着いた気持ちになることでしょう。
老若男女問わずできるのがヨガです。無理は必要ありません。寝る前の10分だけでもヨガを初めてみたら、ぐっすり眠れ、朝も気持ちよく目覚められたら嬉しいですね。